有楽町マリオン
今回は銀座から少し足を伸ばして、有楽町マリオンへ訪れてみました。
有楽町マリオンは、有楽町駅・銀座駅にほど近い東京都千代田区有楽町二丁目に所在する複合商業施設です。「有楽町マリオン」とは通称で、正式には「有楽町センタービル」といいます。この「マリオン」(mullion)とは元々は建築用語で、英語で窓の縦仕切りである「中方立て」(なかほうだて)を意味するのですが、このビルがマリオンを強調したデザインであったため、そのまま通称として定着しました。鏡面のように光り輝く二つのビル全体を整然と格子が覆う姿は、まさしく「窓」のイメージにぴったりです。
二棟の内の一棟は西武百貨店(LUMINE有楽町)、もう一棟は阪急百貨店(阪急MEN'S TOKYO)が出店しており、資本もターゲットも違う二つの百貨店が隣同士立ち並ぶため、年齢・性別問わず広い層がショッピングを楽しむ事が出来ます。また映画館も「TOHOシネマズ日劇」と「丸ノ内ピカデリー」が入居しており、合計で7つのスクリーン(いずれも横幅13m以上)と、4,534席の座席数を有する、国内で最も大規模な映画館となります。東京メトロの駅案内板などでは総称として、「マリオン映画街(Mullion Movie Theaters)」という呼称が使われており、一部サイトでは「プレミアムシネコン」という表現が用いられています。
また、有楽町マリオンのもう一つの名物が、「マリオン・クロック」です。マリオン・クロックは数寄屋橋川ファサード中央に設置されているからくり時計で、セイコータイムシステム株式会社と株式会社乃村工藝社により製作されました。コンピュータ制御による街頭大型からくり時計の草分け的存在であり、現役で活躍する中では最古のものです。
午前10時から午後10時までの毎正時、直径2.6mの懐中時計型の時計盤がせり上がって、約4分半弱の間、身長
50cmの人形が音に合わせて楽器の演奏を行います。セイコーの携わる時計といえば銀座・和光の時計塔が有名ですが、マリオン・クロックも1984年の稼働以来大きな休止及びリニューアルを挟むことなく活躍してきた素晴らしい時計です。
一方で、老朽化も目立ってはきており、84年当時と比較すると「人形の腕の可動域が狭くなる」「人形を乗せている台座が動かなくなる」など演出は段階的に縮小されていますが、それでも30余年もの間有楽町マリオンの歴史を刻み続けてきたマリオン・クロックを眺めていると、とても感慨深く温かい気持ちになります。
家族や恋人など大切な人とショッピングに出掛けるとき、もちろん銀座にも松屋や三越、三月末に新しく開店した東急プラザなど素晴らしいデパートは沢山ありますが、映画鑑賞と合わせて楽しむなら、ぜひ有楽町マリオンへ訪れてみて下さい。きっと他のデパートとはまた一風違う、かけがえのないひとときを過ごし、かけがえのない思い出を心に刻むことができるのではないでしょうか。 |