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亀島延昌のちょっと一服

 
 

堀川賀正の銀座探訪 vol.14

東京駅創業100周年

東京駅創業100周年
 去年の12 月20 日に創業100周年を迎え、新しい歴史を紡ぐ一歩を踏み出した東京駅。今回は、銀座から足を伸ばして、東京の玄関口でもある東京駅について調べてみました。東京駅は日露戦争後に建設が開始され、1914年に営業が開始されてからは我が国の交通、物流を支え、高度成長の土台としての役割を担ってきました。
 2012年10月、創業当時の駅舎を復元された丸の内駅舎の出で立ちは壮観なものがあります。ビジネス街としてまさに日本の心臓と言っても過言ではない丸の内一帯の近代的ビル群の中で、堂々たるルネッサンス様式の駅舎の存在感は、なんともいえぬ時代の矛盾を醸し出し、見る者に逆に未来的な印象さえも植えつけます。
 東京駅(当時は中央停車場)の設計において様々な議論がなされ、外国人設計者によって日本風の駅舎にする案などが提案されましたが、最終的には当時我が国の建築界において権威であった辰野金吾氏に設計が依頼されます。
 しかし、国有鉄道を管轄していた鉄道作業局の帝国鉄道庁・鉄道院への改組、予算の問題などもあって建設作業は遅延しました。そんな中、日露戦争における日本の勝利で国民感情が盛り上がったことや、1906年から1908年にかけて実施された鉄道国有化の影響もあり、それまで予算は65万円と見積もられていたのに対して250万円と拡大し、一挙に駅舎の規模が拡大することになりました。
 このことについては、総3階建て構造にする方針が1907年(明治40年)に報じられています。
 設計された駅舎は鉄骨煉瓦造のもので、荷重を煉瓦の壁面だけではなく鉄骨を組んだ柱や梁で支える構造になっています。また、鉄筋コンクリートの適用が始まる時代の建物であり、当時の最新技術が駆使されています。
 いよいよ迎えた開業式の2日後、12 月20日に東京駅は正式開業し、一般向けの営業が開始されました。営業開始に際して東京駅発行の第1号乗車券は、売った駅員も買った乗客も姓が川端だったという偶然もありました。
 今や日に100万人を超える乗降者数を誇る東京駅も、開業当初の1日平均乗降人員は9,500人程度に過ぎませんでした。何もない原っぱの中に壮大な駅舎が立ち、夜になると周囲は真っ暗といった状況だったようです。
 20世紀前半には、2度にも渡る首相暗殺事件の舞台にもなっています。
 1921年(大正10年)11月4日、政友会京都支部大会に出席するために当時の首相原敬が乗車口へ向かっていたところ、大塚駅員の男に襲撃され暗殺されました。
 1930年(昭和5年)11月14日には、当時の首相濱口雄幸が岡山県における陸軍特別大演習陪観のために9時発の「燕」に乗車するところをピストルで狙撃され、濱口は一時一命を取り留めたものの、翌1931年(昭和6年)8月26日に、このときの傷が原因となって亡くなりました。現在、暗殺現場の壁と柱(丸の内南口ホール内、中央通路の新幹線中央乗換口付近)に概要を記したプレートが、床にはマークが打ち込まれています。
 また、1923年(大正12年)9月1日、関東大震災に見舞われました。火炎が迫る中で駅員は必死の消火・延焼防止活動を行い、どうにか東京駅への延焼は食い止めることができましたがこのとき、およそ7000人の避難者が駅舎やホーム、停車中の列車内などに避難しています。9月4日になって山手線を皮切りに順次運転を再開しましたが、当面救援のための無賃輸送の扱いがとられ、通常の有償営業に戻ったのは9月21日、東海道本線の全線再開は10月28日になりました。東京駅とともに丸の内ビジネス街も延焼を免れたため、震災後急激に発展していくことになります。また行幸道路は、震災復興事業に際して外苑内までの延長が行われ、街路樹や街灯なども統一して整備されて、いよいよ「帝都の玄関」「天皇の駅」としての性格が強調されることになっていきます。
 かつて日本の国内物流はほとんどが鉄道を利用していました。その名残で東京駅と東京中央郵便局は現在でも地下通路で繋がっていて、今では従業員通路や業者用搬入通路、身障者用通路として利用されています。
 また、八本ある東京駅の通路のうち、一番神田よりにある通路の真ん中辺りに「7」と書かれた鉄の扉があります。今は使用されていませんが、かつては人身事故の故人のための霊安室として利用されていました。レンガ造
りの内壁に、奥には遺体を安直する木製の台が置かれて、その上には畳表が一枚敷かれているのがいやに生々しい雰囲気を醸し出しているとのことです。
 このように大変古い歴史を持ち、多くの話題の絶えない東京駅。先日大きな話題を呼んだ[東京駅開業100周年記念Suica]申込み殺到のニュースも、記憶に新しいです。
100年の歴史を歩みながら、首都圏に住み普段から利用する人や、いろんな希望を抱いて地方か出てくる若者、ふらっと旅行に出かける老夫婦といった、実に様々な人たちの想いを乗せて今日も東京駅はにぎやかです。