帝国ホテル
今回は、私達GSKが様々なイベントで大変お世話になっている、帝国ホテルに訪れてみました。帝国ホテルは1890 年(明治23 年)11月7日、当時の政府が進める欧化政策の一環として、「日本の迎賓館」の役割を担い開業された国内初の本格的な西洋式ホテルです。鹿鳴館の北隣に位置し、正面玄関は御幸(みゆき)通りに面していました。北には皇居を臨み、東に歩を進めると文明開化を象徴する銀座の煉瓦街が広がるこの場所は、東京の西洋化の中心地でした。東京本店は昨年11月に、大阪支店は今年3月に125周年を迎えることもあり、館内では3月まで記念展示の開催がされており、その歴史を辿ることが出来るようになっています。
帝国ホテルは日本の近代ホテルの先駆け、かつ代表格として圧倒的な地位を誇り、その行き届いたサービスには国内外から高く評価されています。ホテル業界で「御三家」と並び称されるホテルオークラ、ホテルニューオータニの二社より70 年以上も先輩で、後進のホテルたちはみな「帝国ホテルのようなおもてなしを」と、そのサービス水準を追いかけています。例えばシャワーの水圧一つにしても、近年改修の終わった新しい本館の客室は、わずか2〜3 分で湯舟がいっぱいになります。総支配人の定保氏曰く、もともと海外のVIPを迎えるためのホテルだったという性質上、長旅の疲れを取って頂くことにこだわりがあり、敷地内の郵便局、ハイヤーもそうした目的に付随する形で始められました。クリーニングを頼めばシミ抜きはもちろん、ボタンのほつれまできれいに直してくれるから…と、一ヶ月分の洗濯物を持ち込むお客様までいるとのことです。接客係から配車係、靴磨きに至るまで歴代の名物従業員も枚挙にいとまがなく、そうした特定の従業員に会うことが目当てで帝国ホテルに泊まる人も数え切れません。
居住性、快適性、正確性への飽くなき追及が、「まるでセカンドホームに帰ってきたみたいだね」というお客様の感動の声に繋がっています。
また老舗の伝統にしがみつくことなく、ホテルウエディング、バイキング料理(ビュッフェ)など、帝国ホテルが発祥のサービスや商品も多く、進取の気性も併せ持っています。かれこれ20年以上続けられているのが披露宴前に新郎新婦へ提供される水のサービスで、「花嫁の力水」と呼ばれています。喉を潤すことで緊張をほぐし、落ち着いて晴れの舞台へ向かって頂きたい——グラスの淵に口をつけて花嫁の口紅が落ちないよう、片方にはストローが供されているところまで、細やかな心遣いが表れています。
ところで、本年はバーテンダーの技術を競う世界大会が日本での開催となり、会場は帝国ホテルとなることが決まっています。全国大会や新進気鋭の若手を対象とした大会、より演技の華やかさを追求したフレアバーテンダーの大会も同時開催され、10月16日から21日までの6日間、及びその前後はかつてない規模でかつてない大盛況となることが予想されます。世界中の選手やその家族、応援団たちが帝国ホテルに集結するとなれば、最も手近な繁華街である銀座にも大きな動きが生まれるのではないでしょうか?長旅を経て銀座まで足を運んで下さる方々を、銀座ならではの「おもてなし」で歓迎して、街全体で多文化の交流に役立てれば…きたる10月、どんな新しい風が吹くのか楽しみです。 |