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法律相談

 
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債権の消滅時効期間の民法改正について
半蔵門総合法律事務所 弁護士   市野澤 剛士

質問
 民法の改正により、料理店や飲食店の飲食料金債権について、時効により消滅するまでの期間(消滅時効期間)が長くなると聞きました。その概要を教えて下さい。また、飲食料金債権はいつから消滅時効期間が長くなるのでしょうか。

回答
 1債権の消滅時効期間の改正について
 現行法では、債権の種類ごとに消滅時効期間が規定されており、料理店や飲食店の飲食料債権の消滅時効期間は、「権利を行使することができる時から1年間」です。
 改正案では、債権の種類ごとの消滅時効期間を廃止し、一律に「権利を行使することができる時から10年間」または「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間」とすることが検討されています。
 「権利を行使することができる時」や「権利を行使することができることを知った時」がいつかは、個々の事案に応じて判断されることになりますが、料理店や飲食店の飲食料債権については、多くの場合、お客様に飲食を提供した時が「権利を行使することができる時」及び「権利を行使することができることを知った時」にあたると考えられます。
 そのため、改正により、料理店や飲食店の飲食料債権にかかる消滅時効の起算点(時効が進行を始める基準時点)が大きく変わることはなく、実際には消滅時効期間が1年間から5年間に変更されると考えていいと思います。

2飲食料金債権はいつから消滅時効期間が長くなるのか
 改正法案には、改正法の施行日前に債権が生じた場合や、施行日以後に債権が生じた場合であって、その原因である法律行為が施行日前にされたときは、現行の民法の規定が適用されると規定されています。
 したがって、料理店や飲食店の飲食料債権については、多くの場合、改正法の施行日後に提供した飲食から消滅時効期間が5年間になるものと考えられます。
 改正法の施行日は、改正法が公布された日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定めるとされています。したがって、平成27年に改正法が成立し、公布されれば、遅くとも平成30年には施行されることになります。