GSK
銀座の夜バナー   GSK緑化運動   GINZA Official  
           
GSKとは? | 協会案内 | 協会沿革 | GSK便り | 知得アラカルト | 賛助会 | 情報リンク | ご意見ご要望
 トップページ > 知得アラカルト > 法律相談

法律相談

 
法律相談  
 

境界を越えた枝や根は切り取れるのか(続き)
半蔵門総合法律事務所 弁護士 飯島 智之

質問
 家を増築することにしたのですが、基礎工事のために増築部分を掘ったところ、私の敷地内に隣の家の楓の木の根が張っていることがわかりました。楓の木の枝も私の家の敷地内に張り出しており、落ち葉の清掃が大変なので、この際、枝も根も切ってしまいたいのですが、問題ないでしょうか。

回答
 前回は、竹木の根について、原則として竹木の所有者の承諾がなくても切除することができるけれども、その際にはいくつか注意しなければならない点があることについて説明しました。
 今回は、その続きで竹木の枝の切除について説明します。
 竹木の枝については、民法上、その竹木の所有者に対して、枝を切除するよう請求することができるだけで、隣地土地所有者が勝手に枝を切除してしまうことは許されません。
 ここで注意すべきなのは、隣地に居住している者に請求しても意味がなく、あくまで竹木所有者に対して請求する必要があるということです。ただし、土地の所有者が竹木の所有者であることがほとんどですので、調査をすればすぐにわかるはずです。
 竹木の所有者がこの請求に応じて枝を切除しようとしない場合には、裁判で、竹木所有者に対して枝を切除することを命じるよう請求することができます。ただし、枝を切除しなくとも隣地土地所有者において重大な損害を被るおそれがなく、枝を切除することにより竹木の見事な枝振りが失われるなどの被害が生じる場合には、権利の濫用として切除請求が認められないことがあります。
 本件では、落ち葉の清掃が大変とのことですが、越境している枝があることによりどの程度の清掃作業が必要になっているのかにもよりますし、枝を切除することで竹木にどのような影響が生じるのかなどの事情も検討する必要があります。
 いずれにしても、今後も継続して付き合っていかなければならない隣地土地所有者とはできる限り穏便に物事を解決していく必要があります。したがって、勝手に根や枝を切除したり、いきなり裁判を起こしたりするのではなく、まずは話合いで解決する方法を探ることをお薦めします。