5年前に離婚したとき、元夫は定職についていなかったので、養育費の請求をせずに借金をしながら一人で子供を育ててきました。最近になり、元夫が離婚直後から仕事に就き、かなり稼いでいたことがわかりました。そこで、元夫にこれからの分と合わせて過去の養育費を請求したいのですが、どうすればよいですか。
まず、一般的な養育費請求の手続の流れを説明しますと、養育費の支払の分担は、両親が話し合って決めることが原則です。
この場合に、養育費を支払う合意について、念書等の文書を作成することをお勧めします。ただし、相手方の養育費不払いの場合には、念書だけではただちに養育費の支払を強制することはできませんので、公正証書を作成しておく方がよいでしょう。
両親で話合いがまとまらない場合には、養育費の支払を求めて家庭裁判所に調停を申し立てて、調停の中で、調停委員と両親とで話し合うこととなります。しかし、調停でも、最終的には両親の合意が必要になります。
したがって、調停でも話合いがまとまらない場合には、さらに養育費の支払を求める審判を家庭裁判所に申し立てて、審判官に養育費を決めてもらうこととなります。
裁判所では、養育費の額については、裁判所が作成している養育費の算定表に基づき、子供の人数、年齢、両親の収入から試算して、そこに個々のケースに応じた事情を加味して算定することになります。この算定表は、裁判所のホームページで公開されています。
本件のような過去の養育費の請求については、見解が分かれており、裁判例においても、養育費の請求以後の過去の養育費に限って支払義務を認めるものや、請求の有無を問わず過去の養育費の支払義務を認めるものがありますので、事前に専門家に相談されることをお勧めします。
本件では、これからの養育費は認められるとしても、請求していなかった過去の養育費については認められないこともあり得ますので、夫が養育費を支払うことが難しいようなケースでも、離婚時から養育費を請求しておくことが重要です。
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