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法律相談

 
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非嫡出子の相続分
半蔵門総合法律事務所 弁護士  飯島 智之

質問
 私には、母の死後父と未婚の女性との間に生まれた弟がおり、3年前に父が死去した際には弟と遺産分割協議を行い、父の遺産(300万円相当)を私と弟で2:1の割合で分割しました。
 先日、父の遺品を弟と整理していると新たに500万円相当の遺産があることが分かりましたが、その際、弟から「昨年、裁判所で非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする規定は違憲であるとの判断が出たとの話を聞いた。遺産を2:1で分けることは違憲だから、協議済みの遺産分割もやり直して、全ての遺産を平等に分割してほしい。」と言われました。どうしたらよいでしょうか。

回答
 日本の民法では長らく、非嫡出子(婚姻関係にない男女間に生まれた子)の相続分は嫡出子の2分の1と定められていました。これに対して、当該規定は非嫡出子に対する不当な差別であるとして裁判で何度も争われましたが、その度に当該規定は合憲と判断されていました。しかし、平成25年9月4日の最高裁判所の決定で、初めて当該規定は憲法の平等原則に反しており違憲である旨の判断が下され、当該違憲決定を踏まえて上記規定は現在削除されています。
 ただし、最高裁判所は上記規定が違憲であると述べただけではなく、本決定は「確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではない」とも述べています。「確定的なものとなった法律関係」としては、相続人間で遺産分割協議が成立している場合や裁判所で遺産分割の審判が下された場合などがあげられます。
 本件では、300万円相当の遺産について遺産分割協議が成立しており、上記違憲決定は300万円相当の遺産の分割に影響を与えませんので、遺産分割協議をやり直す必要はありません。
 しかし、新たに発見された500万円相当の遺産は別です。当該遺産については遺産分割協議が成立していませんので、当該遺産について、弟との間で、別途、遺産分割協議を行う必要があります。その際、上記規定は適用されず、また、原則として、過去に行われた特定の遺産(300万円相当の遺産)についての分割協議内容は新たに見つかった遺産の分割に影響を与えないと解されています。したがって、500万円相当の遺産については、弟との協議次第ではありますが、弟と平等に分割することになります。