売掛金を支払ってくれないお客に対して、内容証明郵便を送付して支払いを請求しましたが、支払いがないので、やむなく裁判所の手続きを利用しようと思います。それほど大きい金額でもないので、なるべく手間や費用がかからないようにしたいのですが。
内容証明郵便を送付しても支払いがなければ、裁判所の利用を考えることになります。
まず考えられるのは、民事訴訟の提起です。しかし、民事訴訟を提起する場合、期日の度に本人または代理人が裁判所に出頭して書面や証拠を提出しなければならず、判決が出るまでに相応の時間(早くても2か月程度)がかかります。費用面でも、少なくとも訴訟提起時に手数料や郵便切手の購入費用がかかるほか(たとえば請求額が50万円の場合、少なくとも9千円から1万円程度必要です。)、訴訟となれば弁護士に依頼するのが安心ですが、弁護士報酬として相応の費用がかかりますので、請求金額が小さい場合に利用する手続きとしては不向きなこともあります。
そこで、このような場合、支払督促という手続きを利用することが考えられます。
支払督促は、金銭の支払等を求める場合に、簡易・迅速に強制執行に必要な書類(債務名義といいます。)を取得することが可能な手続きで、書類審査により行われ、裁判所に出頭する必要はありません。証拠を提出する必要もなく、手続きが順調に進めば1か月程度で債務名義を取得でき、費用も民事訴訟に比べ低額です(請求額が50万円の場合、概ね5千円程度です。)ただし、手続きの途中で相手方が異議を申し立てると自動的に民事訴訟に移行するので、相手方に支払う意思がないことがはっきりしていれば初めから民事訴訟を提起する方が迅速に売掛金を回収できますし、管轄が広いなど民事訴訟のほうが有利な点もあります。
今回は民事訴訟と支払督促を紹介しましたが、これら以外の手続き(調停など)を取るべき場合もありますし、事前に費用倒れにならないか十分に検討しておくことも必要ですので、裁判所の手続きを利用する際には弁護士などの専門家に相談しておくと安心です。
|