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法律相談

 
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建物賃貸借の保証人に成る際の注意点
半蔵門総合法律事務所 弁護士 菊地 康太

質問
 知人から、知人が借りる建物の連帯保証人になって欲しいと頼まれていますが、連帯保証人の責任については、賃借人が賃料を支払わないときに、賃借人に代わって賃料を支払いさえすればよいと考えておいて宜しいのでしょうか。連帯保証人となる際に注意しなければならない点があれば教えて下さい。

回答
 どのような契約の定めになっているかにもよりますが、多くの場合、連帯保証人は、㈰賃借人が賃料を支払わないときに賃借人に代わって賃料を支払う義務を負うほか、㈪賃借人に賃貸借契約違反があり、賃借人が賃貸人に損害賠償しなければならないにもかかわらず、これをしないときに、賃借人に代わって損害賠償する義務や㈫賃貸借契約終了後、賃借人が建物の原状回復をしないときに、賃借人に代わって原状回復費用を負担する義務を負うものとされているのが通常です。そのため、賃料の支払いを保証するのみであるとの認識に基づき安易に連帯保証を引き受けることは危険です。
 また、建物の賃貸借では、一定の契約期間が定められたうえで、「必要があれば更新することができる。」などとされていることがよくありますが、このような賃貸借を連帯保証した場合には、更新に際して賃貸人や賃借人から引き続き保証する意思があるかという確認がなされなくても、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても通常は連帯保証人が責任を負うと解されています。建物賃貸借は更新されることが多いのが実情ですので、一旦保証を引き受けてしまうと相当長期間にわたり連帯保証人としての責任を負い続けなければならなくなる危険があることにも注意が必要です。
 さらに、賃借人が亡くなられても、連帯保証人の責任は消滅しません。賃貸借契約は賃借人の死亡によっても当然には終了せず、賃借人の地位及び債務はその相続人に相続されるのが通常です。そして、保証人の責任もこの相続人の債務を保証するものとして存続することになります。したがって、この相続人が賃料を支払わないときは、保証人はこの相続人に代わって賃料を支払う義務を負いますし、相続人が賃貸人との賃貸借契約を解約する場合において、建物の原状回復をしないときは、保証人は原状回復費用を負担しなければなりません。
 このように連帯保証人の責任は、広範囲にわたるものであり、場合によっては相当高額な費用負担を余儀なくされる事例もあります。したがって、連帯保証を引き受けるかどうかを検討するにあたっては、賃借人の性格、現在の支払能力及び当初の契約期間のみならず、賃借人の将来の支払能力、更新を見込んだ建物の使用期間、賃借人の家族の状況などについても必要に応じて調査し、慎重に判断する必要があります。